ep7:オービス光らせたらこうなった3
2020年11月15日午前0時38分… 事件は起きた…
(実際検挙起訴されてるので普通に事件)
当時僕は実家に帰っていたのだ
実家に戻って、学びを共にした懐かしい顔ぶれと優雅な休日を過ごそうと
たまにはみんなで飯でも食いに行こうじゃないか、ラーメンでも食いに行こうよ!
そう思い立った僕は思いついた人間に片っ端から声をかけるという所謂ローラー作戦を発動し、人数が揃ったところで車を走らせピックアップへと向かった
(深夜のラーメンと言えば山岡家、山岡家は存分にカロリーを補給できるオアシスである)
声を上げた同志全員の迎車が済み、車内ではプリパラだのアイカツだのが愛車アリストのウーファーを震わせ、天下御免のチンドン屋として車は深夜の国道16号線に合流した
すごい一体感を感じる。今までにない何か熱い一体感を。
自慢の2JZを轟かせながら漆黒の中を駆ける
お互いに共鳴を重ねて、車がもう自分の体のような、そんな感覚に陶酔し、信号で止まり、信号が青に変わりまた車が進み出す度に巡航速度は上がっていく
免許取得から1週間足らずのレンタカーでのドライブにて、休日ののんびりした昼下がりを迎えた筑波のアウトバーンこと国道294号線を110km/h巡航でアタッカー集団に食らいつくという、北関東の暴走野郎共にスピードで育てられた反☆道交法のサラブレッドの僕に当然加速を緩めるというのは至極困難な話だったのだ
もう音も聞こえぬ前も見えぬハンドルを握っているのかアクセルを踏んでいるのかもわからぬ、心臓とエンジンは完全に同期し、第三者視点から説明するならば無意識状態、ドライバーズハイとでも言おうか
潜在的なフィーリングで車を動かし続ける彼にはもう何をしたところで何の反応もないだろう
すると直前の信号の灯火が黄色に変わったのを確認した
踏むのはブレーキか?アクセルか?
何をぬかすか、アクセルに決まっておるであろう
間に合おうがなんだろうが、灯火が何色だろうがもうそんな事はどうでもいいのだ
そこにどこからともなく槍を投げ、車と心身を侵食し合う僕の心臓に見事突き刺したのは千葉県警であった
なんと信号の数百mほど先にLHオービスがあるではないか!!!
あるではないか?いいやもう遅い、オービスの存在を快走するモンスターに知らしめたのは燃えるような赤い閃光だったからだ!!!!!
It's already too late!!! Fuck you!!!!
勲章を投げつけられた気分だ、心からそう思った
生涯で一番山岡家が美味しく感じた夜であった
(千葉県柏市大島田 国道16号線内回りに設置されているLHオービス武将が奥に鎮座する、手前にしょぼい信号というデコイを武器に俺の首をかっさらって行った)
時は流れ、1ヶ月程経過したある日
市役所納税課やら年金機構からのお叱りのお手紙に怯える僕はこの日も1週間ほど溜め込んでから、恐る恐るポストを開いた
すると市役所よりもよっぽど恐ろしいところからラブレターが届いているではないか
オービスを光らせてから1ヶ月〜程度で、光らせたオービスを管轄する警察署から出頭通知書が届く
いついつどこどこでオービスが写真撮って君の車が写ってるから所有者である君にお話聞きたいんだよね〜この日に来て欲しいな〜来ないと怒るよ〜というものだ
どうしても指定された日に出頭出来ない場合や、あまりにも住所所在地から極端に離れている場合など事前に電話にて相談の上で柔軟な対応を受けられるようだが、原則は指定日に指定された警察署に出頭することとなる
こうして1月某日、年始早々大人しく電車に乗り柏警察署へ交通課のポリスメンとお茶しにきたわけだが
取調べ早々まずは恒例のプリクラを見せてもらえることに
というか事実確認のために見せられる
モノクロではあるものの、かなり鮮明に写っている
なにもかもが丸見えなのである、すっごいニヤニヤしてた俺
プリクラには撮影された写真の他、場所や日時、当時計測された速度や当該オービスの図面と測定方法が記載されている
確認が済むと、あなたには黙秘権がうんぬんかんぬんお決まりの口上を切ってから供述調書の作成が始まる
後ろからずっと煽られていて変わりかけの信号で逃げ切りたかったなどと苦しい言い訳を披露したところで楽しいお茶会はお開き
速度超過38km/h 違反点数6点
30日の免許停止処分に処す
(この時点では暫定であるが)
アー検挙、めでたく免停である、天晴
おまけに容疑者から被疑者である、天晴
お茶会で作られた赤切符はその後、住所所在地最寄りの検察へと送致される いわゆる書類送検というやつだ
そしてこの時点ではまだ免許は停止処分を受けない
乗りたいだけ乗れるし重ねたいだけ罪を重ねられるというわけだ
では一体免停はいつ来るのか?
それは次のお話で